日本的な実証主義は、その理論を戦後50年を掛けて構築してきた のである。その歴史と理論を見ようと思う。 トヨタの大野耐一は、1960年代に米国を訪問した折、米スーパ ーで必要な物を必要な分だけ店舗に並べているのを見て、トヨタの 自動車製造コストが米GMのコストより大きかった理由である見た。 そして、日本の工場を改善する内にジャストイン・タイム(JIT) と称される今の方法に辿り着くのだ。 このJITの考え方が、その後のいろいろな分野の産業に影響を与 える。電電公社の電気通信研究所で品質管理理論を研究していた田 口玄一らが、実験計画法を生み出す。この実験計画法と大野耐一の JITが結びつき、工場における改善の大きな武器になった。 このタグチメソッドは、田口が欧米企業に指導をして1980年以 降、欧米の自動車工場でも使われている。1970年代、このJIT を流通業に使えないかと、セブン・イレブンの鈴木敏文が動く。日 本のイトー・ヨーカ堂は、コンビニエンス・ストアーのノウハウを 米セブン・イレブンから購入するが、それだけでは日本には馴染ま ないことが判明して、窮地に陥ることになる。 この窮地になって、大野耐一のJITを流通業に応用できないかと 考えたのである。ここで、鈴木はJITで改善する手法として用い ている実験計画法を、発展的に「仮説と検証」としたのだ。仮説を 立てPOSデータで検証するという手法に昇華させたのである。 それが現在、BI(ビジネス・インテリジェンス)になっている。 しかし、1980年代にエリヤフ・ゴールドラッドがTOC理論を 確立し日本企業打倒を掲げ、その理論を日本語へ翻訳するのを著者 が断ったことで、日本企業はこの理論を無視したか気が付かなかっ た。そして、1990年代日本企業はバブル崩壊という試練が襲う が、それだけではなかったのである。 このTOCではベルト・コンベアーを排除し、手渡しで仕掛品を渡 すために、中間在庫がほとんど無くなることで資本効率が高まった。 この生産方式を取ることで、欧米諸国の製造業は立ち直り、逆に日 本の製造企業が窮地に追いやられたのだ。この時期、多くの日本企 業は、コスト競争に負けて倒産した。中国の安い労賃に負けたが、 欧米企業は同じ分野の産業でも生き残っている。これはTOC理論 を活用してコストを引き下げた効果が出たのである。この後EMS として日本にも上陸して、カシオやソニーは製品の一部をEMSで 作った時期がある。 1990年に窮地に追いやられた日本企業は、山田日登志を得る。 山田も8年間大野耐一に弟子入りして、JITを学び、そのJIT を日本の多くの企業に導入していた。丁度、その時にソニーは窮地 に追いやられて、山田日登志に助けを求めた。 ここで、山田日登志はTOCを知って、ベルトコンベアーを取り、 少人数で組立てることにしたが、その少人数が1人に行き着く。 セル生産方式の完成である。このセル生産方式で日本企業は復活す る。キャノンなどの企業が世界企業になった理由が、このセル生産 方式によるコスト削減で、欧米企業の製品を打ち負かしたのだ。 これが21世紀に日本企業の時代が再来した理由なのである。 鈴木が完成した「仮説と検証」は、その後日本に進出していたP& Gとコカ・コーラなど米国企業の日本子会社が独自マーケティング に取組む中で活用されて、本社から賞賛され、この分野の日本人社 員を米国本社の重要なマーケティング・ポストに付けている。 このように日本発のJITは自動車だけではなく、他分野産業やマ ーケティング分野の大きな武器として確立してきたのだ。 また、「仮説と検証」は理論ではなく、実証主義の道具として確立 している。日本企業では「見える化」として、そのツールや考え方 が確立してきたのである。世界に誇れる日本の実証的な方法が、 ここにあるのだ。 この方法を使わない手はないと、我々コンサルティング会社は感じ ているのですが、どうでしょうかね??